不動産売却で知っておきたい税金の仕組み
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不動産売却では、所得税や住民税、印紙税などさまざまな税金の負担が発生します。
売却後に手元に残る資金を把握するためには、税金の仕組みを理解しておかなければなりません。
ここでは、不動産売却でかかる税金の種類や控除、税負担を軽減するための方法について解説します。
目次
1.不動産売却でかかる税金とは?

不動産売却では、契約時や売却時にいくつかの税金が発生します。
まずは基本的なポイントを押さえておきましょう。
1-1.売却利益に対して課税される税金
不動産売却で利益が出た場合、その利益は譲渡所得として課税対象になります。
売却した翌年の2~3月に確定申告を行い、所得税や復興特別所得税、住民税を納める仕組みです。
ただし、不動産売却で受け取った資金にそのまま税金が課されるわけではありません。
課税対象となるのは、売却した資金から「不動産の取得にかかった費用(取得費)」や「売却にかかった費用(譲渡費用)」、税制上の控除を差し引いた金額です。
1-2.売却時に発生する「取得費」「譲渡費用」の考え方
では、取得費用や譲渡費用は具体的にどのようなものを指すのでしょうか。
取得費用は、売却した不動産を購入したときの代金や仲介手数料の合計額です。ただし、建物については減価償却費の相当額を控除した金額を計上します。
譲渡費用は、不動産会社へ支払った仲介手数料や測量費、取り壊し費用、リフォーム費用などです。
2.不動産売却で発生する主な税金一覧

不動産売却では、契約時や売却時にさまざまな税金が発生します。
一覧で詳しく確認していきましょう。
2-1.所得税
所得税は、不動産売却によって利益を得たときにかかる税金のこと。
不動産売却によって得た譲渡所得は分離課税の対象となりますので、勤務先から受け取る給与などとは分けて税金が計算されます。
不動産を売却した翌年の2~3月に確定申告を行い、税額が確定する仕組みです。
2-2.復興特別所得税
不動産の譲渡所得には、復興特別所得税も課税されます。
復興特別所得税とは2037年12月31日まで通常の所得税に上乗せして徴収され、東日本大震災の復興に充てられる税金です。
税率は一律2.1%で、確定申告の際に所得税とあわせて申告・納税します。
2-3.住民税
不動産の譲渡所得は、住民税も課税対象です。確定申告を行うと、その情報に基づいて居住する自治体が住民税の計算をしてくれるため、別途住民税の申告手続きを行う必要はありません。
納付方法には普通徴収と特別徴収の2種類があり、いずれかを選ぶことができます。
2-4.印紙税
不動産売却を行うときは売買契約書を締結しますが、この売買契約書は「第1号文書」として、印紙を貼付することが定められています。
売買契約書は2通作成しますので、印紙税は売主と買主とでそれぞれ平等に負担することが一般的です。
税率は契約金額によって異なっており、契約金額が大きくなるほど税率も高くなります。
2-5.登録免許税
不動産売買に伴う所有権移転では、登録免許税が発生します。
通常は買主が負担することが一般的ですが、抵当権抹消の登記については売主が負担しなければなりません。
2-6.消費税がかかるケース・かからないケース
消費税は、売買するケースに応じて納税義務が異なります。
まず土地についてはどのケースも消費税の対象とはなりません。一方、建物については売主が個人か事業者かによって異なります。
事業者の場合は消費税を納める必要がありますが、個人がマイホームを売却する場合などは消費税はかかりません。
3.所得税の計算方法をわかりやすく解説

不動産売買に関するさまざまな税金の中で、特に負担が大きいのが所得税です。納付する段階で困ることのないように、あらかじめ概要を押さえておきましょう。
3-1.所得税の計算式
不動産の譲渡所得に対する所得税は、まず下記の計算式で課税対象となる所得を算出します。
譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額= 課税譲渡所得金額
この課税所得に対して一定の税率をかけて税額を計算する仕組みです。
3-2.取得費とは?
課税所得を算出するときに差し引く取得費とは、不動産を購入するときにかかった代金のことです。また、そのときの仲介手数料を含めることもできます。
ただし、相続した不動産などで「取得費が分からない」という場合もあるかもしれません。その場合は売却した代金の5%相当額を取得費として計上することができます。
3-3.譲渡費用として認められるもの
譲渡費用とは、不動産の売却にあたってかかった費用です。不動産会社へ支払う仲介手数料のほか、リフォーム費用、測量費用、解体費用などが挙げられます。
3-4.課税されるタイミングと申告の流れ
不動産売却で利益が出た場合は、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行います。ただし、マイホームの譲渡損失の損益通算などで税金の還付を受ける場合は、2月15日以前にも手続きを行うことが可能です。
所得税の納付も確定申告の期間内に行いますので、計画的に手続きを進めることが大切です。
4.不動産の保有期間で変わる税率(短期・長期)

では、具体的にどれくらいの税率がかかるのでしょうか。譲渡所得に対する税率は、不動産を所有していた年数によって異なります。
4-1.短期譲渡所得(5年以下)の税率
不動産を売却した年の1月1日時点で、その不動産の所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」とみなされます。短期譲渡所得では所得税が30%、住民税が9%となっており、長期譲渡に比べて税負担が大きくなっています。
4-2.長期譲渡所得(5年超)の税率
不動産を売却した年の1月1日時点で、その不動産の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」とみなされます。長期譲渡所得では所得税が15%、住民税が5%となっており、短期譲渡所得に比べて税負担を大きく抑えることができる仕組みです。
4-3.どちらに該当するかの判定方法
短期譲渡所得か長期譲渡所得かの区分は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで判断します。売買契約を締結した日や不動産を引き渡した日ではないため注意しましょう。
5.税金を軽減できる特例(控除・軽減税率)の種類

不動産売却で得た資金には、控除や軽減税率が適用されるケースがあります。それぞれくわしく紹介していきましょう。
5-1.3,000万円特別控除(居住用財産の特例)
マイホームを売却したときに適用できる特別控除で、最大3,000万円まで控除を受けることができます。まとまった金額を控除できることから、税制メリットの大きい制度です。
適用できるのは現在自分が住んでいるマイホームを売却するときや、住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却するときなどです。この特別控除は所有期間に関係なく適用できるため、短期譲渡で売却するときにも税負担を軽減することができます。
5-2.10年超所有の軽減税率の特例
売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えているマイホームを売却した場合に適用できる軽減税率です。税率は6,000万円以下と6,000万円超で異なっており、詳しくは下記のとおり。
| 課税所得 | 税額 |
|---|---|
| 6,000万円以下 | 課税所得の10% |
| 6,000万円超 | (課税所得-6,000万円)×15%+600万円 |
ただし、親子や夫婦など「特別の関係がある人」に売却したときについては、この軽減税率を適用することはできません。
5-3.買い替え特例・交換特例
マイホームを売却して買い替えたときは、一定の条件を満たすことで税金の納付を繰り延べることができます。税金が非課税になるわけではありませんが、繰り延べた税金は買い替えた不動産を売却するまで課されません。
また、交換特例とは、土地や建物を同じ種類のものと交換したときに、その交換をなかったものとして扱ってもらえる特例です。ただし、交換によって取得した不動産は、交換前と同じ用途で使う必要があります。
5-4.相続した不動産の特例(取得費加算など)
相続した不動産を相続税の申告期限から3年10ヶ月以内に売却した場合は、相続税額の一部を売却した不動産の取得費に加算することができます。これにより、課税所得を圧縮する効果があり、結果として税負担を軽減することが可能です。
ただし、相続税を納めていない場合には、この特例を適用することができません。
5-5.空き家に関する特例措置
相続した空き家の不動産を売却し、一定の条件を満たす場合は譲渡所得の金額から最高3,000万円を控除することができます。対象となるのは昭和56年5月31日以前に建築された物件で、被相続人以外に居住をしていた人がいなかったことなどが条件です。
6.税金を減らすために知っておくべき実践ポイント

不動産売却後の大きな負担となる税金の支払い。少しでも負担を抑えるために、いくつか知っておきたいポイントがあります。
6-1.売却時期の調整で税額が変わる理由
不動産売却にかかる所得税や住民税は、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が大きく異なります。短期譲渡は長期譲渡に比べて税率が高いことから、5年経過直前で売却すると2倍近い税金を支払わなければなりません。
もし所有期間が5年近く、急いで売却する必要がない場合は、5年経過を待ってから売却するのもひとつの方法です。
6-2.領収書の保管で節税できるケース
譲渡所得の課税金額を算出する際は、取得費用や譲渡費用を経費として差し引くことができます。具体的には、不動産会社への仲介費用、リフォーム費用、測量費などです。
これらの費用は領収書を残しておくことで確定申告の際に経費として計上し、結果として課税所得を圧縮することができます。領収書など費用を証明する書類がない場合は経費に計上できない恐れがあるため、関連する費用の領収書はきちんと保管しておくようにしましょう。
6-3.複数の税制優遇を併用できるケース・できないケース
不動産の売却には税制優遇として多くの制度がありますが、これらの中には併用できないものもあります。例えば、3,000万円特別控除を適用した場合は、買い替え特例を併用することはできません。
より効果の高い優遇制度を組み合わせるためには、事前に税理士へ相談してシミュレーションをしてみることがおすすめです。
7.不動産売却でよくある税金トラブルと防ぐ方法

不動産売却に関わる税金の納付では、ちょっとした誤解によってトラブルに発展してしまうことがあります。注意したいポイントを押さえておきましょう。
7-1.特例を使えないケース・誤解しやすい点
不動産売却ではいくつかの特例がありますが、それぞれ適用には厳しい要件が定められています。たとえばマイホームの売却には3,000万円特別控除や買い替え特例などが適用されるものの、要件を正しく理解していないと特例を使えないことにもなりかねません。
よく起こりがちなのが、セカンドハウスの売却で特例を受けられると誤解していたケースです。確定申告の段階になって慌てることのないように、特例の要件はあらかじめ確認しておきましょう。
7-2.申告漏れ・誤申告でのペナルティ
不動産売却の後は、確定申告の手続きを行わなければなりません。確定申告は翌年2月~3月と期限が定められており、もし期限内に申告しない場合には「無申告加算税」や「延滞税」などのペナルティが課される場合があります。
また、期限内に申告したものの、本来納める税金より少ない金額を納税した場合は「過少申告加算税」が課される恐れもあります。
いずれも本来の税額に上乗せして税金を支払うこととなるため、より税負担が大きくなってしまいます。確定申告は必ず期限内に正しい内容で行いましょう。
7-3.税理士へ相談したほうがよいタイミング
不動産売却によって大きな利益が出そうな場合は、契約前に税理士への相談をスタートしておくと安心です。契約前に相談しておくことで、専門家から税負担を抑える工夫を直接教えてもらうことができます。
また、確定申告期限の直前になって相談すると、依頼を受けてもらえないケースも少なくありません。余裕を持って手続きを進めるためにも、前倒しで相談先を探しておくようにしましょう。
8. 不動産売却の税金についてよくある質問

ここからは、不動産売却後の税金に関してよくある質問を紹介していきます。
- 不動産を売却すると必ず税金はかかりますか?
-
必ずしもかかるわけではありません。売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた結果、利益(譲渡所得)が出なければ税金は発生しません。
- 不動産売却でかかる税金にはどんな種類がありますか?
-
主に所得税・住民税・復興特別所得税がかかります。また、売買契約時には印紙税、住宅ローンが残っている場合は抵当権抹消の登録免許税が発生します。
- 税金はいつ支払う必要がありますか?
-
不動産を売却した翌年の2月16日〜3月15日に確定申告を行い、その際に所得税・復興特別所得税を納付します。住民税は後日、自治体から通知されます。
- 短期譲渡と長期譲渡の違いは何ですか?
-
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合は短期譲渡、5年超の場合は長期譲渡となります。短期譲渡は税率が高く、税負担が大きくなります。
- 相続した不動産を売却した場合の税金はどうなりますか?
-
相続した不動産でも売却益が出れば税金がかかります。ただし、相続税を支払っている場合は「取得費加算の特例」などが使えるケースがあります。
9. 不動産売却の税金は岐阜不動産売却センターに相談を
不動産売却には、所得税や住民税をはじめとしたさまざまな税金が関わります。特に短期譲渡での売却は税率が高く、想定以上の税負担になるケースも少なくありません。そのため、売却前に税金の仕組みやおおよその金額を把握しておくことが重要です。
また、物件の種類や売却条件によっては、3,000万円特別控除や軽減税率などの特例が適用できる場合もあります。岐阜エリアで不動産売却を検討している方は、岐阜不動産売却センターにご相談いただくことで専門的なアドバイスも含め、納得のいく不動産売却を実現いたします。


