不動産売却で得したとき、損したときに使える税制の特例とは
不動産売却では、「売却して得する」こと若しくは「売却して損する」ことがあります。
これは、売却金額(不動産を譲渡したことにより得た金銭)から以下の項目を差し引くことで判断されます。
- 購入当時の金額(建物がある場合には、減価償却分を差し引く)
- 購入時に掛かった経費(仲介手数料や印紙代など)を加えた取得費の総額
- 不動産譲渡に掛かった費用
つまり、売却で受け取った金銭からさまざまな費用を差し引いてもプラスになれば売却益(譲渡所得)がある、マイナスになれば売却損と言えるわけです。
一方で、この売却益に対しては譲渡所得税(所得税・住民税)の負担があります。せっかく得た売却益を1円でも多く手元に残しておくには、税制の優遇制度を効果的に活用しましょう。また、売却損の場合にも、買い換えの場合には税制の優遇があります。
この記事では、不動産売却で得したとき、損したときに使える税制優遇の特例について解説します。
不動産売却で得したときに使える税制優遇制度
不動産売却で得したときに使える税制優遇の特例は、以下のとおりです。各々について特例の詳細や適用条件などをご紹介していきます。
- ①居住用の3,000万円特別控除
- ②空き家の3,000万円特別控除
- ③10年超所有軽減税率の特例
①居住用の3,000万円の特別控除
居住用の3,000万円特別控除とは、居住用の財産を売却し譲渡所得(売却益)が生じた場合、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度です。3,000万円を差し引き残った課税譲渡所得には、所有期間により所定の税率がかかります。
なお、居住用の3,000万円特別控除が適用できる要件は以下のとおりです。
- 現在本人が主として住む居住用の財産を売却したとき
- 本人が居住の用に供さなくなったときから、3年を経過する日の属する年末までに売却したとき
- 【更地の場合】本人が居住しなくなった日から3年を経過する年末までの間に、家屋を取り壊した日から1年以内にその敷地の売却に関する契約が締結されている
- 転勤等で単身赴任の場合、配偶者等が居住している家屋を売却したとき(ただし、二つの家屋を所有する場合は主たる居住用家屋)
- 適用は3年に一度だけ(前年、前々年において3,000万円特別控除などの適用を受けていないこと)
- 譲渡する相手は、譲渡者の配偶者や子などの直系血族、生計を一にする親族ではないこと
②空き家の3,000万円特別控除
空き家の3,000万円特別控除とは、空き家を相続により取得した場合、相続開始から3年経過の年末までに所定の要件を満たして売却したときに譲渡所得から3,000万円若しくは2,000万円を控除できる特例です。
控除を受けられる金額は、令和5年12月31日までの譲渡で相続人一人当たり3,000万円、令和6年1月1日以降の譲渡については、財産を取得した人の人数が2人以下の場合は従来通りに一人当たり3,000万円、3人以上の場合には一人当たり2,000万円に変わります。なお、この特例が使える主な要件は、以下のとおりです。
- 相続開始の直前にまで被相続人が一人で居住していたものであること(または要介護認定を受けて老人ホーム等に入居している場合も含まれる)
- 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された区分所有建築物以外の建物であること
- 相続してから売却まで、賃貸など他の用途に一切使われていないこと
- 相続により土地と家屋の双方を取得したこと
- 相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
- 引き渡しまで(令和5年12月31日までの譲渡の場合)、若しくは引き渡しの翌年の2月15日まで(令和6年1月1日以降の譲渡の場合)に、家屋を取り壊すか耐震リフォーム工事を行うこと
- 譲渡する相手は、譲渡者の配偶者や子などの直系血族、生計を一にする親族ではないこと
- 譲渡対価の額の合計額が1億円以下であること
- ③10年超所有軽減税率の特例
所有期間が10年超(所有期間はその年の1月1日時点で数える)の場合、譲渡所得6,000万円までの部分に対し14.21%に税率が減免される制度です。居住用の3,000万円特別控除と併用して利用できます。
なお、6,000万円を超える部分の税率は、従来通りの20.315%です。
不動産売却で損したときに使える税制優遇制度
不動産売却で損したときに使える税制は、買い替え資産があるときです。以下2つの税制についてご紹介します。なお、これら制度が利用できるのは、現状いずれも令和5年(2023年)12月31日までの譲渡に限ります。
- ①居住用財産の買い替え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
- ②特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
①居住用財産の買い替え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
居住用の不動産を売却して損失があり買い替えで住宅ローンを使用した場合、譲渡損失を給与等その他の所得と通算できる制度です。なお、譲渡損失額を引ききれないときには、翌年以降3年間にわたり繰り越し控除できます。
②特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
居住用の不動産を売却して損失があり、その譲渡価格以上の住宅ローンがあるなど一定の場合、譲渡損失を給与等その他の所得と通算できる制度です。なお、譲渡損失を引ききれない場合の対処は先述同様3年にわたり繰り越し控除ができます。
2つの制度の適用要件
ご紹介した二つの制度の適用要件は、居住用の3,000万円特別控除と同じです。さらに、これらの制度には所得制限が年間3,000万円以下、所有期間が5年超という条件が加えられます。
また、①については買い替え資産にも適用要件があります。
- 譲渡した年の前年1月1日~翌年の12月31日までに買い替え資産の取得
- 居住用に供する期間は、買い替え資産を取得した日からその年の属する12月31日まで
- 買い替え資産の住宅ローンは、償還期間10年以上のローン残高があること
- 床面積は登記簿面積で50㎡以上
そもそも売却で得or損はどのように判断する?
不動産売却で得と損は、どのように判断するのでしょうか?以下に、解説していきます。
譲渡所得があれば売却益があるとされる
譲渡所得金額がプラスあれば、売却益があるとされます。反対に、譲渡所得がマイナスであれば売却損です。この場合、税負担はありません。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得は、下記の式を用いて算出できます。
○譲渡所得=譲渡収入金額‐(取得費+譲渡費用)
例えば、譲渡収入金額が3,000万円、取得費が2000万円、譲渡費用が300万円であれば下記のように計算できます。
譲渡所得=3,000万円-(2,000万円+300万円)=700万円(この場合譲渡所得が700万円、つまり売却益があります)
また、譲渡収入金額が2,000万円で他の条件が一緒の場合には以下のようになります。
譲渡所得=2,000万円-(2,000万円+300万円)=300万円(▲300万円の売却損があります)
譲渡収入金額とは
譲渡収入金額とは、売却して得た譲渡したことにより得た資金、固定資産税・都市計画税の精算金です。
精算金の支払いは、年の途中での引き渡しとなるために行います。予め売主が負担している固定資産税等の支払いを、引き渡し日以降については買主負担とするために行います。
これにより買主は、引き渡しから年末12月31日までの固定資産税相当額を売主に支払う必要があります。なお、精算金は税法上譲渡収入金額に加算されます。
取得費とは
取得費とは、購入当時に負担した金銭です。土地や建物の代金の他にも購入時に要した仲介手数料や印紙代なども取得費に含まれます。なお、建物については経年劣化があるため、減価償却費を差し引き建物の現在価値を算出しておきます。
譲渡費用とは
譲渡費用とは、売却に要した費用です。仲介手数料や測量費用、印紙代などが該当します。
まとめ【岐阜市近郊での不動産売却は岐阜不動産売却センターへ】
岐阜市近郊、岐阜県で不動産売却のご相談は、岐阜不動産売却センターにお任せください。岐阜不動産売却センターでは、不動産売却に関する相談やお悩みなど何でもお受けしています。
通常売却の他に、相続・空き家・ゴミ屋敷の売却など、不動産売却であれば岐阜不動産売却センターにご連絡をお願いします。